「教師生活25年!」と、『ど根性ガエル』の町田先生がいつも叫んでいました。
昭和40年代から50年代にかけて『週刊少年ジャンプ』に連載され、テレビアニメ
にもなった人気漫画の話です。
中学生のひろしが原っぱで石につまずいて勢いよく転んだとき、なぜかそこにいた
カエルを胸で押しつぶしてしまうのですが、カエルは死なずにひろしのシャツに張り
付き、“平面ガエルのピョン吉” として元気に生きていくというムチャなお話。そのひ
ろしとピョン吉が通う中学校の教師が町田先生で、教師生活25年だから年齢は50
手前だと思いますが、令和の50歳に比べるとけっこう老けていました。
僕が小学生の頃に見ていたこの古い漫画をなぜ思い出したかというと、何を隠そう
僕は「コピーライター生活35年!」なのです。正確には「35年以上!」なのです。
気がつけば、いつの間にか、年齢も町田先生をとっくに越えてしまいました。
35周年といえば一つの節目というか、堂々たる金字塔ではないでしょうか。芸能
人なんかだと「大御所」とか「師匠」とか、それこそ「先生」とか呼ばれて尊敬され
る存在でしょう。でも、コピーライターの場合は(私の場合は?)違います。町田先
生のようにキャリアを大声で叫ぶなんてもっての外です。だって、年齢がバレてしま
いますから……。
デザイナーとかフォトグラファーとか、いわゆる横文字職業の人間が集まっている
私たちの業界は若い人が多いのです。20代のヤングから見れば還暦前の男など(私
です)、オッサンを通り越してオジイです。加齢臭です。ごくろうさまです。会社員
だと定年間近なわけです。
「オジイにオシャレなコピーはムリじゃね?」なんて彼らは思っているでしょう。
「そんなことないだっちゃ♡」と、なぜか『うる星やつら』のラムちゃんの口調で
反論でもしようものなら彼らはドン引きです。
いえ、被害妄想ではありません。年齢で判断されがちだと私はこの年になって感じ
ています。しかし一方では、この道一筋35年というのも我ながら立派だと思ってい
て、誰かに自慢してみたい気持ちもあるのです。だからこうして、誰も見ていないブ
ログの中で叫んでみます。
「うち、コピーライター生活35年だっちゃ♡」
つづく